情報処理は物理処理を直接的には効率化できない。だからといって無力ではない

昨日、画像認識AI+OCRによる読取精度の向上という日記を書きました。
しかしこのような情報処理技術を使うためには、まずは物体としての書類をスキャンして、デジタル画像に変換しなければなりません。
デジタル画像があって初めて、そこから意味あるデジタルデータを読み取ることができるのです。

年末調整における物理処理とは、控除証明書等の証明書類を集めること、およびそれらをスキャンすることです。
物理処理は、処理すべき量と処理にかかる資源(たとえば時間)が正比例するため、規模の経済を稼ぐことが難しいというのが特徴です。

今週に入って、社員の皆様が提出した証明書類の到着件数が急増してきました。

「ペーパーレス」を謳う年末調整クラウドサービスがありますが、「この書類の山を見たことあるの?」と教えて差し上げたいですね。
人事部ではこれから、封筒を開封し、並べ替え、未提出者を督促し、申告内容と証明書類を突合し、必要に応じて修正し、正確な申告データを入力するという物理処理が始まるのですから。

閑話休題。
クラウドが完全にペーパーレスを実現できないように、情報処理は物理処理を直接的には効率化できません。
しかしまったく無力というわけではありません。

例えば、控除証明書と一緒に送られてくる依頼書のQRコードを読み取ることで、到着確認を行うことができます。
データベースは更新されますし、到着を確認した旨のメールが社員に届きます。

到着した紙の申告書をすべて並べ替えてみて、初めて未提出者が発見されるといった非効率はありません。
到着確認メールが届けば社員の方も安心でしょう。
これらは物理処理を情報処理に変換したからこそできることです。

QRコードを読み取り、スキャンを完了すれば、後の進捗はすべてデータベースで管理できるのも、情報処理ならではの効果です。
どの社員のどの書類がどこまで処理されているのかは、リアルタイムに管理画面で把握できます。
どの工程が遅れているかがわかれば、リソースを追加するといった対応を取ることもできます。

スループットを最大化するための生産管理に、情報処理技術が役立っています。

2021年11月9日